解離性障害

解離とは?
私達の意識や記憶、知覚、情動などは、本来は一つにまとまっています。しかしながら、解離では、そのまとめる能力が一時的に失われ、自分が自分であるという感覚が損なわれます。
解離性障害は、主に次の3つに分けられます。

〇離人感・現実感消失症
現実感が薄くなる、自分の精神と身体の離脱を体験する、周囲からの離脱を体験するなどの症状がみられます。
〇解離性健忘
健忘とは、過去の体験や出来事を思い出す能力が失われる障害です。
自分自身のことを思い出せなく範囲は、ある出来事の特定の場面であったり、全般性であったりします。
多くの場合、過去のことを思い出せないことに、自分自身では気が付いていません。周りの人から身に覚えのないことを尋ねられるなどして、初めて健忘に気が付きます。
〇解離性同一性障害
多重人格とも言われます。自分が自分という人格であるとの同一性が損なわれます。
2つまたはそれ以上の人格が現れる、憑依の体験をする、健忘(過去の体験や出来事を思い出す能力が失われる)を繰り返します。

症状

  1. 自分で自分である感覚は薄れ、あたかも自分を外から眺めているように感じる。
  2. 周りの風景がよそよそしく感じて、現実味がない。
  3. ストレスを契機に、記憶をなくす。
  4. 失踪して新たな生活を始める。これまでの記憶がない。
  5. 心理的な原因で、体が思うように動かせなくなる。
  6. いくつもの人格が交代で現れる

治療

解離性障害の患者さんは、ご自身で思っていることを言葉で表現するのが苦手であったり、心理的なストレスが原因で症状が出ていることが典型的です。そのため、明らかなお体のご病気は発見されないことも多く、周りから”わざとやってるんじゃないか?”と病状を理解してもらえないことで、時に、ご本人様が辛い思いをしています。ですから、周囲がご本人様の病状に理解を示し、安心して過ごせる環境作りが大切です。
薬剤治療につきましては、不安や抑うつ症状が強い場合は、それらを和らげる安定剤や抗うつ薬を用いることがあります。

よくあるご質問

Q. 解離性障害と統合失調症の違いは?

たしかに、統合失調症の前駆期に解離症状が出てくることがありますし、統合失調症の経過で解離症状を伴うこともあります。
解離性障害では、ご本人様が幻覚様(幻覚のような)症状を訴えることがあります。解離を起こす過程で、周囲との関係性が乏しくなるため生じるのです。
また、周囲からみると本人の訴えは妄想なんじゃないか?と感じることもあります。
このように、両者は似た症状が出るかに見えるのですが、しかしながら、解離性障害と、統合失調症は全く異なる疾患です。解離性障害が、多くは心理的要因が引き金となり一時的に自分自身にアクセスし辛くなるのに対して、統合失調症は慢性に経過することが多い疾患です。

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