アスペルガー症候群
アスペルガー症候群は、知的な遅れがないため、早期には気が付かないこともあります。学校の勉強はよくできたのに、大きくなって社会に出たとたん、周りになじめず悩むことも少なくはありません。周りとの関係が築けず空気が読めないと言われたり、自分勝手な人だなどと言われることも。その他に、興味や活動が特定のものに限られパターン化するなどの症状がみられることもあります。アスペルガー症候群の原因は、先天的な脳の機能不全と考えられていますが、はっきりとは解明されていません。生まれつきの脳機能の発達のアンバランスにより、周囲の人との関りが上手くいかず、社会生活に困難が発生すると考えられています。本人の意思に関係なく、社会性の乏しさがあります。他の人と関わりたくないと言うわけではありません。
症状
アスペルガー症候群でよくみられる症状は、こだわりが強い、興味の偏り、感覚の偏り、社会性の乏しさ、想像力を働かせにくいなどの特徴があります。
・こだわり
- 特定のものばかりを集める
- 家具の配置などにこだわりがあり、頑なに守りたがる
・興味の偏り
- 興味のあることに没頭し、それ以外のことには興味を示さない
- 興味があることなら、何時間でも集中して取り組める
- 気持ちを切り替えるのが苦手で、複数のことを同時にできない
・感覚の偏り
- 極度の偏食がある
- 音や光への過敏性がある
- 特定の感触や匂い、味覚を嫌がる
- 体育など体を使うことが苦手だ
- キラキラ光るものや回るものが好きで、例えば扇風機をいつまでも飽きずに見ている
・社会性の乏しさ
- 人と関わるのは苦手で一人で過ごしがちだ
- 大勢が苦手で、少ない友人と過ごす方が気が楽だ
- 言葉の記憶や理解はよくできるが、うまくコミュニケーションが取れず、会話がすれ違う
- 話し言葉で、堅苦しい言葉を使う
- 相手の話をよく聞かず、自分の言いたいことばかり延々と話す
- 家族とさえ目を合わそうとしない
- 逆に、見ず知らずの他人と親しく接するなど、関係性が理解できない
- 周りと喜びを分かち合う、共感ができない
・想像力を働かせにくい
- 相手の発言を文字通りに受け取り、ユーモアやお世辞、皮肉や比喩を理解することが難しい
- 周りからは、空気が読めないと言われる
- 心の理論の障害:他者の視点でものごとを考える「心の理論」が身に付きにくいと言われています
- 相手のしぐさや表情から気持ちを読み取ることが苦手だ
- 皮肉や冗談を、言葉通りに本気にとってしまう
- あいまいな説明をされると混乱してしまう
- 初めてことや予想外のことが起こると対応できない
治療
周囲のサポート
社会制度
薬物治療
周囲のサポート
家族など周囲の人に特性を理解してもらうと、安心して過ごせます。そうすると、自分の苦手なことばかりではなく好きなことや得意なことがわかってきます。実際、アスペルガー症候群の方には、高い能力を発揮した歴史的な著名人もいます。ご自身の特性や興味を知れば、適正に合ったお仕事を探す参考になります。また、一旦仕事に就いても人間関係で悩む方も少なくはありません。自立と言いますが、疾患の有無に関わらず何でも一人でできる人なんていないでしょうし、誰でも苦手なことは周囲からの支援を受けて生きています。支援を受け続けことも必要になります。
アスペルガー症候群は、遺伝する場合があることが知られています。治療介入の時期は、発見、対応は早い方が良いとされています。発達の早い段階で気がつき周りが特性を理解することで、本人の生活も楽になります。
通常、アスペルガー症候群だからと言って非行や犯罪の率が高まることはなく、無関係です。しかし、独自のルールをもうけて行動している場合は、社会的な常識やルールの理解がしにくく、周囲からの助言や考え方の修正が必要となってきます。
社会制度の活用
特別支援教育制度により、小中学校では、発達障害への支援が受けられます。また、高校や大学でも発達障害への対応が行われは始めています。就労について悩んだ時には、発達障害者支援センターや地域障害者職業センターなどで、就労支援が行われており、ご相談頂けます。ご家族、教育機関、就労支援、医療機関などの支援ネットワークが重要です。
生活適応能力を高めるため、従来はSST(Social Skills Trainig)と言われる社交技能訓練が行われていました。しかし、社交術を学んで柔軟な対応を身に付けることは、アスペルガー症候群の人には難しい場合も多いです。そのため、近年は、社交術を幅広く学ぶのではなく、生活に必要な技能に絞ったSCIT(Social Cognition&Interaction Training)社会認知と相互交渉のトレーニングや、LST(Life Skills Training) 生活技能訓練などが行われています。SCITは、社交術を認知の仕方や交渉の仕方などの具体的な方法として身に付けます。LSTは、柔軟性のある社交性の獲得は目指さず、生活術や社交術を技能として学びます。また、視覚機能のかたよりを詳しく調べて、その調節に必要なトレーニングを行うビジョントレーニングもあります。
薬物治療
アスペルガー症候群では、基本的には薬物治療は行いません。ただし、将来のことで不安が強い、家族や周囲が特性を理解してくれず攻撃的になってしますなどの二次的な症状がある場合は、ご相談の上でお薬を併用した治療も考慮致します。
よくあるご質問
Q.
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