まず、情動とか、感情、気分など、似たような言葉を整理しておきます。
私たちが、日々暮らしていて感じる、心や気持ちの動きそのものを情動と言います。その情動が、「喜び」や「悲しみ」、「怒り」など、表情や言葉で表わされた時、感情と言います。例えば、嬉しそうな顔の表情をしている場合は、「喜び」の感情ですね。
自らが感じている情動を、表情や言葉で表して周囲とコミュニケーションを図ることを、感情を共有するとも言いますね。

情動と言うのは、刻々と変化しているものですが、その流れる様子を気分と言います。
ん??なんだか、急にわかりにくい表現になりましたね。

気候にたとえると、わかりやすいと思います。
今日一日の天気が、雨→曇り→晴れなら、『雨のち曇りのち晴れ』
雨とか、曇り、晴れの模様が情動とするなら、『雨のち曇りのち晴れ』が気分です。

では、この『雨のち曇りのち晴れ』という気候は異常気象でしょうか?
そんなことはないですよね。
雨であったり、曇りであったり、晴れたりする、むしろ、天気の変化があるのが通常ではないでしょうか。

感情についても同様です。
繰り返しになりますが、情動と言うのは、刻々と変化しているものです。状況に応じて、悲しんだり、喜んだり、怒りの感情を抱いたり。

では、情動が『揺れ動く』というのが、通常の機能とするならば、障害とはどう定義されますか?
『揺れ動かない』です。
気分が揺れ動かない、固定されているとは?
大まかな説明になりますが、例えば一定期間を超えて憂鬱な気持ちが続いている場合、『うつ病』と診断される場合があります。
また、一定期間を超えて気分が高揚している場合は『躁』と診断される場合があります。
ただし、躁状態がずっと続くことはありません。ある時期から、うつ状態に移行するのです。この病態を双極性障害と言います。

常に情動が不安定に見える病態もあります。
嬉しそうにしているかと思いきや、急に怒り散らしたり。それは、境界性パーソナリティ障害と言われます。
一定期間を超えて憂うつだとかテンションが上がっているような気分障害ではなくて、常に不安定な印象です。こちらについては、パーソナリティ障害の項目で説明します。

うつ病については、こちら☞
双極性障害については、こちら☞