「最近、仕事で忙しくて睡眠不足」だとか、「学校の試験があるから今夜は徹夜する」「睡眠不足は体に悪い」など、普段の会話で睡眠に関することは多く聞かれます。

そもそも、なぜ、人は睡眠を取るのでしょうか?もっと広い意味では、なぜ、動物は睡眠を取るのでしょうか?そもそも、動物にとって、睡眠というのは、きわめて外的に対して無防備な状態です。そのような危険をおかしてまで取る必要があるのが睡眠とも言えます。実際、イルカは脳の半分ずつを交互に眠らせたり、象は立ったまま寝たり、外敵という脅威から身を守りつつ、脳を休めているのです。睡眠は、起きている時にでた老廃物を取り除くためとか、エネルギーを蓄えるために脳の温度を下げるためとか、脳の神経細胞の働きを高めるためとか、色々なもっともらしい仮説があります。

では、睡眠不足の状況が続くと、どうなるのでしょう?
睡眠不足になると、食欲を増加させるホルモンの多く分泌され、食欲を抑えるホルモンの分泌が減ることが知られています。その結果、過食して肥満になりやすくなります。また、一晩寝ないと血圧が10mmHg程上がることも知られています。肥満、血圧・・これって、高血圧や高コレステロール、2型糖尿病など、生活習慣病を引き起こしやすくなるということです。
さらに、睡眠不足が続くと、アルツハイマー病になる危険が増す可能性が指摘されています。アルツハイマー病と言うのは、脳にアミロイドβと言われるタンパク質が溜まることで発症します。脳には、アミロイドβのような老廃物を洗い流す働きがあるのですが、起きている時よりも寝ている時の方が、この洗い流しが盛んに行われています。つまり、睡眠不足では脳の老廃物が十分には洗い流されず溜まりやすく、その結果アルツハイマー病にかかりやすい可能性があるのです。

まとめますと、
睡眠は動物の生命時に必要不可欠な働きであり、その障害である睡眠不足は、人間において生活習慣病のみならず、認知症のリスクを高めます。

睡眠障害の分類に入りますが、睡眠と覚醒は、切っても切り離せない関係にありワンセットです。
つまり、睡眠-覚醒障害という表現をします。
睡眠-覚醒障害には、以下の病態があります。
・不眠障害
・過眠障害
・ナルコレプシー
・呼吸関連睡眠障害
・概日リズム睡眠-覚醒障害
・ノンレム睡眠からの覚醒障害
・悪夢症
・レム睡眠行動障害
・レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)
・物質・医薬品誘発性睡眠障害

不眠障害

いわゆる不眠症です。おおよそ、1週間に3日以上、3か月以上にわたって睡眠の量や質が低下して日中の活動に苦痛を感じる場合は、不眠症が疑われます。
主に、寝付きにくい、夜中に目が覚める、朝早く目が覚めてしまう